1.TI法とは
TI(Time Intensity、時間強度曲線法)とは、知覚される感覚強度の時系列的変化を記録し、得られた関数形の特性を様々なパラメータを用いて記述する方法のことです。
2.手順
目盛りをつけない線尺度で感覚強度を測定する。一番左端を0(no perception に対応)とします。スケール上で、感覚の強さに応じてカーソルを動かします。感覚強度は、2分間、1秒に1 回、あるいは、2回の割合で測定します。
3.データ処理
- 各測定時刻ごとに、条件ごとに全被験者、全繰り返しデータの平均をとります。
- 下のようなグラフを作成し、以下のパラメータを求めます。
AUC: TI 関数の曲線下の面積
Iarea: TI 関数の曲線の増加曲線下の面積
Darea:TI 関数の曲線の増加曲線下の面積
Tmax: 強度が最大値に達するまでの最短時間
Imax(Vmax):ピークにおける最大強度
Duration(Dtot):total duration 全持続時間
α:増加回帰直線の傾き
β:下降回帰直線の傾き
Dmax:Y軸の値が0.9 × Vmax より高い時の時間間隔(duration)
Zimoch, J. & Findlay, C. F. , 1998 Effective discrimination of meat tenderness using dual attribute time intensity. Journal of Food Science, 63, 6, 940-945. より引用
4.出力
- 平均値の時系列グラフ
- すべてのパラメータ
5.実例
N. Pineau ら(2009)27) より
試料:5種類の日常の食品。調べた味覚の属性は、酸味、チーズ臭(発酵)、粘つく、とろける、フルーティ、スモーキー(燻製のような)、脂っこい、ナッツの味がする、パスティ(焼いたパイ)、塩味。
測定時間は120秒。
各食品、各属性で3回繰り返したので、一人のパネリストが計150 回、実施。
パネリストが口に試料を入れたらスケールの左端をクリックする。次に、パネリストは、口の中の感覚の大きさに応じてスケール上でカーソルを動かした。なお、スケールには、目盛りは打たれていない。データは、2秒に1回の割合で記録された。結果:試料FC に対するTI の結果は、以下の通りであった。
N. Pineau et al. (2009) Temporal Dominance of Sensations: Construction of the TDS curves and comparison with time-intensity. Food Quality and Preference 20, 450-455. より引用
参考文献
製品開発に役立つ感性・官能評価データ解析−Rを利用して
6.J-SEMS.TIMEでのTI
特徴
J-SEMS.TIMEでのTIには以下の特徴があります。
- 最長60分までの計測ができます。
- 計測は0.1秒間隔で可能です。
- 感覚の入力はスライダーバー(iPadの画面をタッチ)で行います。
- 設定した感覚はフットスイッチ等の外部入力で選択できます(オプション)。これにより、画面に触ることなく検査ができます。
- 検査結果を集計し、TI曲線を描画することができます。
- 検査結果はパソコンにダウンロードすることができます。
例
入力画面
解析画面