1.TDLとは
- TDL(Temporal Drivers of Liking)は、時間経過に伴う嗜好の強度の変化過程を測定する方法です。
- TDLでは、採点法のように、段階尺度を用いて試料に対する好みの程度を評価します。
- TDLを提唱したThomas, A.等(2016)は、TDLをTDSと組み合わせて実施し、TDSにおける時間変化とTDLにおける時間変化を比較し、両者の関係を考察しています。彼らは、この方法をS-TDLと呼んでいます。
- Thomas, A.等の研究(2017)では、TDSの測定画面と、TDLの測定画面を同一画面上に提示し、ゴーダチーズを食した時の感覚の時間変化(TDS)と好みの時間変化を並行して測定しています。
2.S-TDLの測定画面の例(Thomas, A. 等(2017)の図を日本語に訳したもの)
- 下の9つのボックスは、TDLで好みの程度を9段階評価するためのもの。
- 好みの程度に応じていずれかのボックスを押す。時間の経過とともに好みの強さが変わったらその時点で、別のボックスを押す。
- 上の10個の横長の長方形のボタンは、TDSのための感覚属性ボタンで、ここでは、TDSとTDLが同時に測定できるようになっている。
3.測定結果の分析
Thomas, A.等の研究(2017)では、様々な分析をしていますが、例えば、TDSで、ある感覚属性ボタンを押している時間におけるTDLの好みの評価と、別の感覚属性ボタンを押している時間におけるTDLの好みの評価を比較することも一つの方法といえます。
4.参考文献
- Thomas, A. et al. 2016 “Alternating temporal dominance of sensations and liking scales during the intake of a full portion of an oral nutritional supplement.” Food Quality and Preference, 53, 159-167.
- Thomas, A. et al. 2017 “Measuring temporal liking simultaneously to Temporal Dominance of Sensations in several intakes. An application to Gouda cheeses in 6 Europiean countries.” Food Research International, 99, 426-434.
4.J-SEMS.TIMEでのTDL
特徴
J-SEMS.TIMEでのTDLには以下の特徴があります。
- 最長60分までの計測ができます。
- 計測は0.1秒間隔で可能です。
- 感覚数は最大10まで設定できます。
- 好みの程度はラインスケール(線尺度)またはボタン(段階尺度)で強度を入力します。
- 検査のトリガー(ステージ)を入力することができます。例:口に含む、噛む、飲み込む。
- 検査結果の集計ができます。
- 検査結果はパソコンにダウンロードすることができます。
例
検査画面