感性・官能評価システム J-SEMS

SD法

SD法

SD法とは

 試料を見たり味わったりした時に、評価者は、その試料に対して様々な印象を持つ、その印象が、どういう内容のものなのかを知りたい時に、SD法が使われることが多いです。SD法は、試料の持つ主観的なイメージを知りたい時、あるいは、試料に対する評価者のイメージ構造を知りたい時に有効な手法です。SD法には、通常、一般パネルが用いられます。

理論

 SD法の基本は下図に示されるような,両側に反対語をなす形容詞対を伴った多くの評定尺度の集まりであり,各尺度は5‐7 段階尺度を構成しています。例えば「良い-悪い」の形容詞対をもつ7 段階尺度であれば,非常に良い,かなり良い,やや良い,どちらでもない,やや悪い,かなり悪い,非常に悪い の7 段階の尺度となります。評定者(パネル)はある対象に対して感じる印象をこの7 段階のいずれかに印をつけて評定します。どこに印を付けるかは全く個人の自由であって,正答というものはありません。

検査

試料ごとに、上図に示したような尺度を示してパネルに評定させます。得られた評定結果を,例えば7 段階尺度であれば,1 ~ 7 の得点として入力します。

解析

各試料,各尺度について,平均値と標準偏差を算出します。集計後は,平均値を,より積極的な方(例えば良い, 動的など)を高い点に換算した方が,後のデータの解釈がわかりやすいです。例えば7 段階点の場合,集計時の平均をX とすれば,高得点方向を左右逆転し、平均値X’ は,X’ =8-X で求められます。この様に意味上で高位方向を統一した平均値を用いて下図のように,画面上に平均的反応をプロットして折れ線グラフとすれば,各試料のセマンチティック・プロフィールを描くことができます。
次に、必要に応じて、因子分析を行い、得られた因子負荷量行列から因子数を決定し、試料ごとに因子得点を求めます。試料間の因子得点の差の検定等も行います。


大山正 1994 「色彩心理学入門」 中央新書 中央公論新書 より引用

さらに詳しく

ガイドブック「製品開発に役立つ感性・官能評価データ解析-Rを利用して-」での解説

参考文献

製品開発に役立つ感性・官能評価データ解析−Rを利用して

例:地下空間イメージの測定

手順

SD法によって地下空間に対するイメージを測定しました。評価者は、地下街に勤務している一般成人50名。印象評価のための形容詞対で、左の形容詞に非常にあてはまるを1、やや当てはまるを2とし、どちらでもないを3,右の形容詞にやや当てはまるを4,非常に当てはまるを5としました。用いた形容詞は、以下の表にあるような16 の形容詞対でした。

人工的な 自然な
充実している 空虚な
整然とした 散らかった
柔らかい 硬い
美しい 醜い
陰鬱な 快活な
鮮やかな くすんだ
汚い 清潔な
気楽な 息苦しい
暗い  明るい
安全な 危険な
恐い 安心な
不快な 快適な
健康な 不健康な
閉鎖的な 開放的な
広々とした ごみごみとした

検査画面

J-SEMSの検査画面:線尺度

解析画面

J-SEMSのプロフィールと解析結果