感性・官能評価システム J-SEMS

識別試験法

識別試験法

主に試料間の差の有無や、パネル(試験の対象者)の識別能力の有無を判定する場合に用いられます。
J-SEMSで実施できる識別試験法は以下です。

試験法 概要
2点識別法 パネルの試料に対する識別能力を決定する方法
3点試験法 パネルの試料に対する識別能力を決定する方法
1対2点試験法 パネルの試料に対する識別能力を決定する方法
配偶法  パネルの試料に対する識別能力を決定する方法

 

1.2点識別法

試料Aと試料Bの2種類の苦味成分の異なるポテトチップスを用意します(試料Bの方が苦味が強い)。20人のパネルがそれぞれ1回ずつ両者を比較し、どちらが試料B(どちらが苦い)かを選択してもらいます。

説明

あらかじめ客観的な順位がついている2種の試料間の差をパネリストが識別する能力を持つか否かを検定する際に用います。2つの試料を同時、または、継時的に示し、どちらの試料の強度が強いかを判定させ、その正答率を測定します。一人のパネリストがn回識別試験を行う場合とn人のパネリストが1回ずつ識別試験をおこなう場合とがあります。2点識別法では片側検定を、2点嗜好法では両側検定を用います。

 

J-SEMS 試験解析画面

    

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ガイドブック「製品開発に役立つ感性・官能評価データ解析-Rを利用して-」での解説


2.3点試験法

印刷方式を変えたパンフレットに、違いがあるかどうか調べる為、従来方式で印刷したA、新しい方式で印刷したB、Aを2回、Bを1回、ランダムな順に見せて異なるパンフレット(この場合はB)を選択してもらいます。

説明

3つの試料を1組にし、その内の2つは同じ試料、1つは異なる試料にします。パネリストは、この中の異なる試料を選ぶのが課題です。n回の測定の中で、2種の試料間に差があるか、あるいは、一人のパネリストに識別能力があるかを測定する際に用いる。二項検定を行います。

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3.1対2点試験法

新しく開発したスキンクリームBは従来品Aの香りにわずかな変更を加えたものです。この新製品は従来品と違いが感じられるかどうかを調べました。まずパネルに従来品Aを提示し、次に従来品Aと新製品Bを提示し、どちらが新製品か選んでもらいます。

 

説明

パネリストに、まず標準試料(見本)を与え、次に、標準試料と同じものと異なるものの1組を試料としてパネリストに示します。パネリストは、示された1組の試料対の中から、標準試料(見本)と同じ試料を選び出します。どれくらい正答するかが問題になり、パネリストの識別能力を測定したい時に用います。検定法は、2 点識別法と同じで、二項検定を行います。片側検定です。

 

J-SEMS 試験解析画面

 

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4.配偶法

配偶法には、同じ数の試料を組み合わせる、繰り返し試験する、異なる数の試料を組み合わせる手法が選択できます。

色相の識別能力を判断する為に、色相がわずかに異なるA,B,C,D,E,Fの6種類の色票を二組作ります。
1人のパネリストに、同種の試料が2組み用意されていることを知らせ、各組から1個ずつ取り出して、同種の色の組みわせを作らせます。

説明

t個からなる試料の組みを2組作ります。パネリストには、第1組の1つの試料と同じと思われる試料を第2組から選択するということを行ない、最終的に、t対の組み合わせを作る課題を行わせます。t対の組み合わせの内、何対正解したかということで、パネリストの識別能力を測定することができます。なお、1人のパネリストに1回のみの判定で繰り返しを行なわない場合と、繰り返しを行なう場合とがあります。また、試料の組みを作る際に、t個とt個というように同数の組みにして揃える場合と、t個と(t+1)個、あるいは、(t+2)個というように同数にしない場合とがあります。

 

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参考文献

製品開発に役立つ感性・官能評価データ解析-Rを利用して-